特集：老いても安心

　老いることには不安がつきまとうものです。
健康面や経済面で生活上のしづらさを覚え、
希望がなくなり、喜びも楽しみも喪失するという不安でしょうか。

　老いても不安がなく、なお成熟し、
魂に平安が去らないような生き方があるのでしょうか。
　内村鑑三は「老いは老耄ではない、老熟である」と言いました。
内村鑑三の流れをくむ信仰共同体「基督教独立学園」で
91歳の生涯を終えた桝本華子さんは、
晩年、次のような言葉を遺しています。
　「あのう、私はだんだん歳をとってきて、
肉体的には衰えていきますけど、
歳をとると嬉しいことが一杯いっぱいある。
とても一杯いっぱいある。それは今まで
頭でわかっていたような聖書の箇所が霊でもわかってくる。
一つひとつ目からうろこが落ちてきて嬉しくなってくる。」
（『光の中に』桝本華子記念文集より）

　私たちは何を目標にどう生きればよいのでしょうか。今号では、
老いについて、26号に続いて再び幸いな晩年を過ごされた
人生の先輩の生きざまに学んでみたいと思います。
また、看護や介護の現場での生の声も聞いてみたいと思います。

目次

巻頭言　　心豊かな晩年を迎えて　　水谷幹夫

特集　老いても安心

野に咲くベロニカ　林富美子先生のご生涯　　松井康男

入江正信先生の思い出　　　　　　　　　　　加藤弘子

「とうちゃん」と呼ばれ親しまれて　　　　　畑野めぐみ

水谷文子さんの思い出　　　　　　　　　　　山口淑子

にこにこばあさん　　　　　　　　　　　　　千葉武子

父と母の残してくれたもの　　　　　　　　　西多慧子

父の思い出　　　　　　　　　　　　　　　　永山　操

父の老いの日々を振り返って　　　　　　　　岡田　仰

老いても安心　　　　　　　　　　　　　　　根本綾子

★　卒塾生の今　第19回　「門」　伊東 啓一

★　新連載　リレーエッセイ
　　ただで受けたのだから、ただで与えなさい
　　派遣者たちの今 坂口いのり

★　主がお入り用なのです　～ロバの訪問看護～　　岸本みくに
　　連載第８回　「家族力は団らんにあり」

★　証　集
・小さな夫婦の出エジプト記　　　　山守そのみ
・もう、ひとりじゃない　　　　　　山守麻由美
・愛の叱責は神の憐れみ　　　　　　樋渡浩三